縁側から見える夕焼けに気を取られていた妙は、突然背後から抱きすくめられて身体を強張らせた。
「あ、すみません」 聞き慣れた低音に緊張が解ける。気配も無くいきなり現れるところは相変わらずだ。それでも、いつもなら盛大に自分の名前を呼びながら飛びついてくるのに。 気付けば慣らされてしまった黒い布地の感触が妙を包む。 「ここんトコちっとも逢えなかったから…我慢出来なくなっちまって」 「仕事中でしょう」 跳ね上がった鼓動を抑えつつ返した言葉は、我ながら可愛気が無い。しかし近藤は吐息だけで笑うと、腕に力を込めた。温かい。 「休憩中」 それきり、何も言わずに妙の髪に鼻先をうずめてじっとしている。 空の茜色が濃度を増していく。 問えば、きっと何でも無いと笑って離れて行ってしまうから何も聞かない。日頃甘えてくると見せて、その実甘やかしてくれる近藤は、自分自身が本当に甘えたい時には何故か逃げる癖がある。 だからこんな彼は珍しく、少しでも長く引き止める方法は無いものかと、妙は必死で頭を働かせた。 こういう時は自分の性格が恨めしくなる。気の利いた言葉も仕草も何一つ思い浮かばない。夜のバイトのスキルなど、欠片の役にも立たない。 身体にまわされていた腕が緩む。 離れていく温もりに焦燥感を覚え、妙は近藤を振り仰ぐと、口付けをねだった。 |
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〈02 素直と純情は別物〉 | |
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できてる近妙。このままなだれ込めば良い(何に)。ありえないよ! 分かってるよ! 二次創作だし良いじゃん別に!(逆ギレ)。ウチは甘々でいく。近妙が公式だとは全然思ってないです。柳生編ラストの土方のセリフが唯一のよすが。 |